2024年6月から、所得税と住民税の「定額減税」がスタートします。
この定額減税、具体的にはどのような制度で、私たちはどんな手続きが必要なのでしょうか?
この記事では、定額減税の基本から対象者、手続き方法、減税になる金額、また気になる住宅ローン減税やふるさと納税との関係までをわかりやすく解説します。
最後まで読めば、きっと6月から始まる定額減税を理解して利用できるようになりますよ。
2020年から続いたコロナ禍を経て、その後は景気が回復すると同時に世界中で急激な物価高が起きています。日本は石油などのエネルギーをはじめ、食料もさまざまな品目で輸入に頼っており、その影響は免れません。
2020年の生活費を基準とした2023年の消費者物価指数では、総合指数が前年比3.2%の上昇となりました。生鮮商品とエネルギーを除いた場合は前年比4.0%もの上昇があり、家計の負担は確実に大きくなっています。短期間にこれほどの物価上昇が起こると、賃上げによる所得の増加だけでは間に合わず、生活が苦しくなる世帯が増加します。そのため、政府は一時的な手段として、税金の一部還元を決定しました。
2024年6月から始まる定額減税とは、納税者本人と配偶者を含めた扶養親族1人につき、
・所得税3万円
・住民税1万円
合計4万円が減税になるというものです。
最近の物価高は、多くの家庭にとって大きな負担になっていますよね。
食料品や日用品の値段は上がっているにもかかわらず、賃金の上昇が追いついていなくて、生活費の圧迫が深刻化しています。
こういった現状を踏まえ、国民の負担を軽くする目的で、税金を「国民へ還元」する目的で行われるのが2024年の定額減税なのです。
これは、2024年6月から1年限りの施策で、減税の対象は、納税者本人だけではなく、扶養親族も含みます。
では具体的に見ていきましょう。
定額減税の対象となるのは、以下の条件を満たす個人です
・居住者(国内に住所がある、または引き続き1年以上居住している人)
・合計所得金額が1,805万円以下の人(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下である方。子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下)
定額減税の対象となるのは、納税者本人だけではなく、居住者であれば扶養配偶者を含めた扶養親族も減税が受けられます。
以下の例を見ていきましょう。
この場合、1年間で16万円の減税になります。
共働きで、どちらも扶養でない場合も、上記の条件を満たしていれば、それぞれが定額減税の対象となり1年間で合計16万円の減税になります。
減税額は支払う所得税・住民税が減らされて、結果的に受取金額が大きくなるという仕組みです。
では、減税を行う前の所得税・住民税額が定額減税の金額よりも少ない時はどうなるのでしょうか。
その場合は、差額を「給付金」として受け取ることができるんです。
上の図のように、住民税非課税世帯や、所得税課税・住民税一部を納めている世帯、所得税・住民税の納付から給付しきれない世帯には「給付金」が支給されます。
住民税非課税世帯・所得税非課税で住民税の一部を納めている家庭には、18歳以下の子ども1人につき5万円の上乗せもあります。
定額減税を受けるには結論としては、給与所得者・年金所得者は基本的に手続きは不要です!
それでは、給与所得者、事業所得者、年金所得者についてそれぞれ説明します。
◾️給与所得者
給与所得者(会社員や公務員)の場合、納税者本人の手続きは不要です。
2024年6月1日以降の給与(ボーナスが先にある場合は賞与)から実施されます。
6月分で引ききれない場合は、7月以降も継続されます。
◾️事業所得者
事業所得者の場合、予定納税の対象となる人は、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)特別控除の額に相当する金額が控除されます。
予定納税ではない人は、確定申告で定額減税が適用されます。
◾️年金所得者
年金所得者の場合も手続きは特に不要です。
2024年6月の徴収分から減税され、引ききれない場合は8月以降も継続して適用されます。
まとめるとこのようになります。
「所得税」と「住民税」は、減税される方法が違いますのでご注意ください。
「所得税」は、減税額以上の所得税を支払っている場合は、一度に減税になるので6月に手取り額が増えます。
少し複雑なのは「住民税」です。
◾️給与所得者
給与所得者の場合、6月は住民税の徴収ナシで、そのあと11か月にわたって1人1万円を11分の1ずつ減税になります。
◾️事業所得者
事業所得者は第1期分(6月分)の税額から控除され、控除しきれない場合は、第2期分(8月分)以降の税額から、順に控除されます。
◾️年金所得者
年金所得者は10月分の特別徴収税額から控除され、控除しきれない場合は、12月分以降の特別徴収税額から、順に控除されます。
1ヶ月の所得税が減額分よりも少なくて、6月1ヶ月で減税分が引ききれなかった場合は、ボーナスや次の給料で残りが減額されます。
それで引ききれなかった場合はその次・・というように順次控除します。
例えば給与所得者で、12万円減額になる人が月々納めていた所得税が11,750円だった場合、下の図のようなイメージになります。
例外的な手続きが必要な場合
基本的に給与所得者は納税者本人の手続きは不要ですが、例外的に以下の場合は手続きが必要になります。
・令和6年分の所得金額(合計)1,805万円を超える場合
・令和6年6月以降に「扶養控除等申告書」・「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」の内容にに変更があった場合。(例:結婚・出産・扶養していた子供の就職・扶養配偶者が扶養から抜けたなど)
念のため、扶養親族に当てはまる人を確認しておきましょう。
令和6年12月31日の現況で、以下の4つすべてに当てはまる人が定額減税の対象扶養親族に当たります。
・配偶者以外の親族(6親等血内の血族・3親等内の姻族)
・納税者と生計を1つにしていること
・年間の合計所得金額が48万円以下であること
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いをうけていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
6月以降に、この4つの条件から外れるご家族がいる場合は、年末調整または確定申告で手続きが必要になります。
定額減税についてはわかったけど、気になるのはほかの税制度とのからみ。
気になるところを確認していきましょう!
住宅ローン減税を受けている方は、定額減税との間で影響があるのかと気になると思います。
住宅ローン減税というのは、住宅ローンを借りて住宅を購入、増改築したら「年末時点での住宅ローンの残高の0.7%」が、所得税や住民税から控除される制度のことをいいます。
でも大丈夫!定額減税が導入されても、結論からいうと住宅ローン減税には基本的に影響はありません。
定額減税分の所得税がもし2026年12月までに減税できなかった場合は、その分1万円単位の給付金で受け取れます。
ではふるさと納税はどうなのでしょうか?
ふるさと納税には控除になる寄付金に限度額がありますので、その基準が変わってしまうのではないかと心配されると思います。
ですが、ふるさと納税も気にしなくても大丈夫です!
ふるさと納税の控除寄付金の上限は、定額減税を行う前の金額で計算すると決まっているからです。
配偶者が6月時点では扶養配偶者だったのに、途中で収入が増えて扶養から外れる場合は年末調整が必要になります。
扶養配偶者かどうかを判定するのは2024年の12月31日だからです。
税金の扶養配偶者とは、年間の合計所得金額が48万円(給与所得だけの時は103万円)以下の人を言います。
2024年12月31日時点で、配偶者の収入がこの金額を超えていた場合は、年末調整や確定申告が必要になります。
一度控除された税金を返す必要があります。
その場合は扶養を抜けた配偶者自身の減税という形になります(返す金額と配偶者が納税者本人として受け取る金額は必ずしも一致しません)。
配偶者が今収入がないけどフリーランスを目指して頑張っている場合など、年末調整が必要になるかもしれないと心に留めておいてくださいね。
収支を記録し、グラフで一目瞭然。操作は全て流れるようにスムーズ。
クレジットカードや銀行口座と同期することで、収支の記録が自動化。手間なく金銭管理が可能。
プレミアムプランでは、複数アカウントの追加が可能で、共有して家計を一元管理することが実現する。
定額減税がわかってきたところで、実際いくら減税されるか計算をしたいなら、Zaimアプリでシミュレーションできますよ!
30秒でできるので、ぜひ試してみてくださいね。
この記事を通じて、令和6年度の6月から始まる「定額減税」概要や対象者、手続きが必要かなどを解説してきました。
この減税で手取り金額が増えたとき、あなたは何に使いますか?
日頃の自分へいたわり、家族との交流を深める旅行、またはご自分の新たな学びにと夢が広がります。
せっかくの定額減税なので、最大限に活用したいものですね。